親知らずについて
親知らずとは
親知らず(おやしらず)とは、大臼歯(大人の奥歯)の中で最も後ろに位置する歯であり、第三大臼歯が正式な名称で、智歯(ちし)とも呼ばれています。
親知らずは中切歯(一番前の前歯)から数えて8番目にあり、永久歯(大人の歯)の中で最後に発育します。
永久歯は通常15歳前後で生え揃いますが、親知らずは生える時期が概ね10代後半から20代前半であり、親に知られることなく生えてくる歯であることがその名前の由来だとも言われています。
親知らずの痛みの
原因について
親知らずが正常な方向にはえていない場合、歯ブラシが難しくどうしても汚れが残ってしまいます。この汚れは細菌が多量に付着しており、この細菌のせいで歯茎が腫れたり、膿が出たりすることがあります。これを智歯周囲炎といいます。
また、この細菌により虫歯になることがあります。虫歯は親知らずがだけでなく、隣の歯に生じることもあります。隣の歯は非常に大切な奥歯です。この歯に虫歯が生じることがないように管理することはよく噛める口を守るためには非常に大切です。
親知らずによる症状
- 腫れ
- 痛み
- 頭痛・肩こり
親知らずと歯並び
親知らずと歯並びの関係性について
親知らずが横向きや斜めにはえてしまった場合、隣の歯を圧迫することにより、歯並びが乱れてしまうことがあります。親知らずが歯茎の中に埋まったままでも同様に歯並びに影響を与えることがあります。
また、歯並びの悪さは、虫歯や歯周病へのリスクも高まります。歯並びが悪いせいできれいに磨けず、汚れがたまりやすくなり悪影響を及ぼします。
どんな親知らずは
抜歯すべき?
親知らず抜歯をおすすめするケース
親知らずが虫歯になっている
前述のとおり、親知らずは程度の差こそあれ、基本的に「磨きにくい歯」となるため、虫歯リスクが高くなります。セルフケアの改善の余地がない(物理的にどうやっても磨きにくい)場合などには、虫歯治療を行っても再発する可能性が高いため、抜歯をおすすめします。
歯並びを乱している
親知らずが横向き・斜めに生えるなどして、隣の歯を押し、歯並びを乱すことがあります。放置しているとドミノ式に歯並びが乱れることもあるため、抜歯をおすすめします。
手前の歯の根を溶かしている
親知らずが横向き・斜めに生えると、その手前の歯の根の吸収が進んでしまうことがあります。手前の歯の寿命を短くしてしまうため、親知らずの抜歯をおすすめします。
腫瘍・嚢胞の原因になっている
親知らずを原因として、腫瘍や嚢胞が生じている場合があります。そういった場合には、抜歯をおすすめします。
必ずしも抜歯しなくて良いケース
親知らずがまっすぐ生え、虫歯や歯並びの乱れ、腫れ・痛みの原因になっていない場合には、基本的に親知らずを残すことをおすすめします。親知らずも噛むという機能を支える歯であることには変わりありませんので、むやみに抜くということはありません。
親知らずを抜歯する際の
医院の選び方
一口に親知らずの抜歯といえどもその難易度は多岐にわたり、数分で処置が終わるものから全身麻酔での処置が必要なものまであります。
難しい抜歯は一般の歯科医院では難しく、リスクが高くなります。
歯科口腔外科専門医は外科処置を専門としています。
歯科口腔外科専門医が在席している歯科医院での抜歯をお勧めします。
親知らず抜歯の流れ
上顎の親知らずの場合
表面麻酔を行い、局所麻酔を行います。
麻酔が十分に効いたことを確認し、ヘーベル(楔)を用いて歯を脱臼させ抜歯します。
歯肉に埋まっている場合は歯肉の切開が、骨に埋まっている場合には骨を削ることが、手前の歯に大きく引っかかっている場合などは歯を割ることが必要となることがあります。
下顎の親知らずの場合
局所麻酔は歯の周りの麻酔だけではなく下顎孔伝達麻酔といわれる麻酔を使用します。ブロック注射に似た手技で下顎片側と舌に麻酔が奏功します。それに加え歯の周りの麻酔を行います。
他の歯や骨に引っかかっていない場合は上顎と同様に局所麻酔後にヘーベル(楔)を用いて歯を脱臼させ抜歯します。
横を向いている場合は、歯肉の切開、一部骨を削り、歯を割って抜歯することになります。
大きく骨を削ると容易に抜歯できることも多くありますが、体に残る傷が大きくなるため、骨を削る量はできるだけ少なくし歯を割って抜歯するようにします。これによりできるだけ体に優しく抜歯をすることができます。
抜歯後の注意点
術後の合併症として、腫れ・出血・疼痛があげられます。腫れについてはご自身の体の力で改善に向かうことでしょう。痛みについても、ご自身の治癒力で改善に向かうのですが、術直後は疼痛が強いため、鎮痛剤を用いて疼痛のコントロールを行います。
術後の感染にも注意が必要です。傷口はできるだけ清潔に保ち(うがいのし過ぎは治癒遅延の原因となるので注意が必要です)ち、場合によっては抗菌薬を使用します。
抜歯後の腫れについて
上顎の親知らずの抜歯は腫れも痛みもそう大きくはありません。
ほとんどのケースで1〜2日で痛みも落ち着いてきます。
下顎の親知らずが横向きに生えていたり、骨に埋まったりしている場合には処置の侵襲が大きくなるため、術後に腫れ、痛みが生じます。軽い方でゴルフボール大症状の強い方でソフトボール大の腫脹と血腫(あざ)が生じます。1週間程度痛み、腫れが続きます。場合によってはそれ以上続くこともあります。
腫れがのどの方にまで腫れ、息が苦しいなどの症状がある場合はすぐに医療機関に相談するようにしてください。
親知らず抜歯の
よくある質問
Q. 親知らずはなぜきちんと生えないのですか?
現代人は徐々に小顔になってきています。
そのため顎が小さくなり、歯が生えるスペースが少なくなっています。
歯が生える場所がなく、手前の歯などに引っかかってしまい、まっすぐに生えない原因とります。
Q. 親知らずがまた生えることはありますか?
ありません。場合により過剰歯といわれる人より歯が多い人がおられます。
その場合は親知らずの後ろに歯があることがあります。
Q. 親知らずの抜歯は大体どのくらいかかりますか?
通常、上顎で10分程度、下顎で20分程度ですが、場合によっては1時間程度かかることもあります。
Q. 抜けなくて途中で中止されることはありますか?
場合により安全を優先し中断することがありますが、まれです。
Q. 親知らずが虫歯になると抜歯は難しいですか?
関係ありません。
Q. 親知らずを抜くと小顔になるか?
なりません。